Urology
泌尿器科
基本方針
近年、人口の高齢化に伴い、排尿障害などの泌尿器科疾患が増えております。
当院では高齢化社会、介護の時代に対応するために、高齢者の排尿障害に力をいれております。前立腺肥大症、尿失禁、過活動膀胱などの排尿異常に対して薬物治療や手術を積極的におこなっております。
また、結石症(腎結石、尿管結石など)に対してはTUL(経尿道的尿管結石破砕術 レーザー使用によるもの)やESWL(体外衝撃波破砕治療)を適時おこなっております。
他、感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎など)や腫瘍性疾患(腎細胞癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍など)、男性性機能障害(勃起障害、射精障害など)等、腎・尿路および男性生殖器の疾患すべてにわたり診療しております。
関連した症状
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血尿 おしっこに血が混じる
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排尿痛 おしっこするとき痛みがある
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頻尿 おしっこが近い
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残尿感 おしっこが出きっていない感じ
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排尿困難 おしっこが出にくい
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尿が出ない 尿閉・乏尿・無尿
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尿失禁 おしっこが漏れる
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尿が濁る(膿尿) おしっこが濁っている
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血精液症 精液に血が混じる
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勃起障害 勃起しない
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夜尿症 おねしょがなおらない
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陰嚢水腫 陰嚢(睾丸)が腫れている
外科的治療(手術療法)
前立腺肥大症(BPH)
当院では前立腺肥大症に対し積極的に治療を行っております。
患者さんの前立腺肥大の状態や排尿状況に合わせて、薬物療法や外科的治療の選択をしております。
Thu-VAP(ツリウムレーザー前立腺蒸散術)
内視鏡を挿入しファイバーを挿入、ツリウムレーザーを前立腺に照射し蒸散していく治療法です。
肥大部を蒸散させることで、排尿障害を解除します。
従来型の経尿道的前立腺切除術(TUR-P)に比べ、手術中、術後の出血量が少なく、カテーテルの留置期間が2,3日と短期間となっており負担の軽減につながっています。
手術後の痛みも少ないため術後の回復が早く、早期退院が可能です。
手術実績
導入年:2022年4月
症例数:2022年/126件 2023年/133件
Uro-Lift(前立腺吊り上げ術)
UroLiftシステムは、従来とは異なるアプローチを使用し、肥大した前立腺組織を持ち上げ尿道を塞がないように固定することにより前立腺肥大症を治療します。この術式は、継続的な薬物療法や前立腺組織の加熱、切断、除去を要さない唯一の経尿道的前立腺肥大治療法となっています。
排尿障害は有意に改善が見られ、また再治療率も低く、生活の質(QOL)の改善におおきく繋がっております。
TUR-P(経尿道的前立腺切除術)
Transurethral Resection of Prostate
ループ状の電気メスを装着した内視鏡を尿道内に挿入し、肥大した前立腺組織を尿道粘膜とともに切り取る手術です。前立腺の大きさにより異なりますが、約2時間で終了します。手術中の出血リスクが高く、手術後のカテーテル留置期間が4~5日必要です。入院期間も、1週間以上となる場合もあります。
膀胱腫瘍/膀胱がん
膀胱腫瘍とは、膀胱の粘膜にできる腫瘍の総称です。
膀胱がんは、膀胱粘膜に生じるがんを指します。多くは、尿路上皮にできるがん(90%以上)です。
痛みやほかの症状を生じない血尿が特徴的な症状です。まれに、改善しない排尿時痛や残尿感を示す場合があります。スクリーニング検査として、尿中に血液やがん細胞が含まれていないか尿検査を行い、CT検査や超音波検査を行っていきます。疑いのある場合には、内視鏡を尿道から挿入し膀胱内を観察する検査を行います。
がんの診断や進行の程度を調べる検査として、経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。組織は、顕微鏡を用いた病理検査を行い診断していきます。
TUR-BT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
内視鏡を尿道から挿入し、切除ループを用いて膀胱内の腫瘍を切除していく方法です。お腹を切ることなく手術を行うことができます。手術後はカテーテルを2~3日留置しておく必要があります。入院期間は1週間ほどで、早期退院が可能です。
切除した組織は病理検査を行い、結果によりその後の治療方針を検討していきます。
難治性過活動膀胱
過活動膀胱とは、急な尿意が突然起きる尿意切迫感が強く、頻尿や夜間頻尿を伴っていきます。
治療として、行動療法や薬物療法から開始します。3カ月ほど経過しても症状の改善が得られない、副作用による治療の継続が困難となってしまう病態を難治性過活動膀胱といいます。
難治性過活動膀胱の治療として、ボツリヌス療法を行うことで膀胱の異常な収縮を来す膀胱の筋肉を、柔らかく楽にする作用があります。
ボツリヌス毒素(ボトックス®)膀胱壁内注入療法
活動膀胱に対して、A型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス®)を膀胱壁へ注入する治療法を行っています。尿道より膀胱鏡を挿入し、膀胱の壁内(筋肉)へ細い注射針でボツリヌス毒素を100~200単位、20~30か所に注射します。10~20分ほどで終了するため、外来での治療も可能ですが、安全を考慮し入院で治療を行っています。
治療効果は、2~3日ほどで現れ、6~8ヵ月ほど効果が持続します。効果が弱くなってきた場合、3ヵ月の間隔経っていれば再投与が可能となっています。
腎・尿管結石
尿管結石では、急な背部から下腹部にかけての激しい痛みと吐き気、発熱が生じます。次いで、血尿がみられることがあります。結石による尿管の閉塞により腎盂腎炎や敗血症を起こしてしまう危険性もあります。
腹部超音波検査やX線検査、尿検査、血液検査などを行い、患者さんの背景(年齢・体型・合併症の有無と程度・発熱の有無)を考慮し状態に適した治療方法を選択していきます。
1.痛みなどの症状に応じた治療(対症療法)
痛みに対して、鎮痛薬を用いた薬物療法を行います。痛みの程度を見ながら、注射薬や坐薬による鎮痛薬を使用していきます。痛みの改善がみられない場合には、積極的に外科的治療(手術療法)を行っていきます。
当院では、患者さんの苦痛改善のために当日の手術も行っています。
TUL / f-TUL(経尿道的尿路結石破砕術)
Transurethral Lithotripsy
麻酔導入後に尿道より内視鏡を挿入し、内視鏡先端を尿管あるいは腎盂内の結石まで導き、結石を直接観察しながら結石を破砕し、破砕された結石を体外に摘出する手術法です。
当院では、硬い結石でも破砕効果の高いホルミウム・ヤグレーザーを用いており確実に破砕を行っています。尿管結石だけではなく、さらに奥にある腎杯に挟まっている結石を破砕する治療法(f-TUL)も行っています。
手術後の痛みや血尿などの症状がみられる際には、症状に適した治療を行い患者さんの苦痛緩和に努めてまいります。そのため、最低1泊の入院が必要となっています。
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy
対外衝撃波治療では、放電によって衝撃波を生じさせる装置から発生させた衝撃はエネルギーを体内の結石に照射して破砕する治療法です。破砕された結石片は、尿とともに排泄されます。レントゲンで結石の位置を確認しながら、結石に焦点を当て衝撃波を3000~4000発、約30~60分間の治療を行います。
痛み止めをしっかり行い、患者さんの負担軽減に努め取り組んでいます。
入院することなく、日帰りでの治療も可能です。結石の大きさなどによっては、1泊2日する場合もあります。
特殊外来
近年、男性更年期障害/加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)の方が知られるようになってきました。加齢やストレスなどにより、男性ホルモン(テストステロン)が減少することで全身の倦怠感や不眠、肩こり、集中力の低下、イライラ、性欲低下、ED(勃起障害)などの症状が出現していきます。症状は、うつ病と非常に似ています。
専門医によるカウンセリングを行っています。
ED外来について
特に、ED外来には力を入れており専門医によるカウンセリング、薬物治療を積極的に行っています。効果が得られない場合、陰茎海綿体内注射療法(ICI療法)を行っております。
診察の際には、男性看護師が付き添います。
治療薬
●バイアグラ(シルデナフィル) 900円
●レビトラ(バルデナフィル) 1,500円
●シアリス(タダラフィル) 900円
EDとは:満足な性行為を行うのに、十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること、と日本性機能学会は定義しています。
来院の際はお問い合わせくださいませ。
photo by Ken Ogo